北海道無計画旅4日目
2018/09/06
前日早く寝たので7時とかには起きたんですが、疲れてたからかテントでも案外快適に寝れたなあとか、暴風雨で飛ばされなくて良かったなあとかぼんやり考えながらゴロゴロしてました
そしたら先に起きていたKがスマホ片手に何やら大騒ぎしています
どうやら我々が寝ている間に大変なことが起こったらしいことがわかりました
北海道に行くってことだけは一部の友人知人には話してあったので、僕にも何件も「地震大丈夫?」「生きてる?」等LINEやTwitterのリプライが来てました
ご心配おかけしました、連絡くれた人ありがとうね
北海道といっても広いので、僕らのいた増毛は揺れはほとんどありませんでした
それでも震度3くらいはあったらしいんですが、風での揺れの方が強くてわかりませんでした
とはいえ昨日、一昨日あたりにいたところで大地震が起こったこと、船便などの交通手段や流通が途絶えていること、さらには全道で停電・断水が起きていることなどは、決して他人事ではないという意識を持つには十分すぎる事実でした
運のない人間なので、台風が来ないはずの北海道で台風に遭い、地震が起こらないはずの北海道で地震に遭います
ちなみに、僕らの乗った3日の夕方便以降のフェリーは翌日、翌々日は台風で、それ以降当面は震災の影響で運休になったので、たまたま選んだ3日の夕方便は、たまたまベストな選択でした
そのへんはラッキー
とりあえずテントから出てみるも、特に変わった様子はなく..
テントを片付けて最寄りのセイコマに朝飯を調達しに行くことにしました
そこで異変に気づきます
信号機停まってる!!!!
東京の信号機は停電しても動いてた気がします
北海道は停まります
何もない道ならいいんだけど、交通量のあるところは結構怖かったです
数日間はこれが続いたので、実際都市部では信号機の停止による事故も多かったらしいですね
僕らが通った道は他の車がいないようなところが大半だったので、そこまで不自由はしませんでしたが..
市街地では警察官が交通整理をしている様子も見かけました
手信号なんて、教習所で習ったは良いけど使う機会ないし忘れたよ、みたいな人がほとんどな気がしますが..
(これは留萌の市街地での写真です)
ともあれセイコマに到着したものの、ニュースを見た地元住民が殺到し、食糧はほとんどありません
また、コンビニ自体の物流や電力も途絶えているので、仕入れも入ってこないし、要冷蔵・冷凍品なんかは軒並み販売できない状況でした
いつもは温かくておいしいお弁当や軽食を提供してくれるホットシェフもお休みです
店内も何だか暗くて、東日本大震災のときを思い出しました
結局我々がありつけたのはカップ麺だけ
まだこの時点では在庫もたくさんあったので、今後のことも考えて多目に買っておきました
それもコンビニの給湯器は使えないので、コンビニの裏でカセットコンロでお湯を沸かして食べます
多摩ナンバーの車からキャンプ道具を引っ張り出して、コンビニの裏に座り込んでカップ麺を啜る若者ふたりに声をかけてくれる地元の人もいました
大丈夫です、私たちにはテントという寝場所もあるし小さなキッチンだって持ってるし、ガソリンもたくさんあるから電気の心配もありません
朝飯を摂りながらいろいろと調べていると、情報は少ないものの、道北方面は少なくとも道路の寸断などの甚大な被害はないということで、予定通り北を目指すことにしました
宿などの予定が立たない状況なので、とりあえずなんとかなりそうな大きな街へ、ということで稚内市街を目指すことにします
今日はR232を素直に北上します
このR232はオロロンラインといって、日本海沿岸を北海道らしい広くてまっすぐな道が延びている、有名なドライブスポットです
北上ルートは、左手に海を、右手には果てなく広がる草原を眺めながら進んでいくことになります
観光案内とかで見るいわゆるオロロンラインは、だいたい留萌から天塩をさすと思うのですが、小樽から留萌もオロロンラインではあるそうです
留萌までは、途中旧増毛駅などに寄りながら進みました
廃線や廃駅が好きなので、北海道に車で行ったらぜひ廃線巡りをしてみたいと思っていたので、そのひとつです
旧増毛駅は、元々留萌本線の駅で、つい最近まで列車の発着があったこともあり、廃駅としてはきれいにメンテナンスされていました
どちらかというと観光地化しています
駅舎を利用してミュージアムにしたり、あえて線路や駅名標を残して線路を歩けるようにしていたりしました
よくも悪くも綺麗な廃線でした
むしろなんとなく通りかかった増毛小学校?の方が廃墟感がすごかったです
留萌駅にも寄りました
大きな駅なんですが、やはり廃線化が進んだ影響なのか、はたまた震災の影響なのか、人影は少なく、とにかく全道の鉄路が機能していないことくらいしかわかりませんでした
駅そばのお店の人と常連さんは、当分は営業できない、そりゃあ大変だ食べるものがない、なんて話をしていました
市街地は水や食糧、ガソリンを求める住民でちょっとしたパニックでした
↓ガソリンスタンドに列をなす車
我々は携行缶があるからいいものの、手書きの「売り切れ」の看板を出して店を閉めているガソリンスタンドなんかも見受けられ、事の深刻さを物語っていました
あとは天塩まではひたすらオロロンラインを北上します
本当に気持ちいい道ですね
右手側は、風車があったり牧場だったり、時々姿を変えますが、左手側はひたすら日本海です
広くてまっすぐで、有名なドライブスポットなだけに、警察の取締が厳しいなんて話も聞いていたんですが、震災でそれどころじゃないのか警察の姿はありません
オービスも停電なので無法地帯です笑
信号も渋滞もない道なのであっという間に天塩に着きました
天塩でR232から降り、宗谷サンセットロードという海沿いの道を通ってサロベツ湿原、抜海を経由して野寒布岬へ
とても寒かった..
ここまでほぼノンストップで来たので少し休憩
改めて稚内駅を目指します
稚内駅!日本最北端の駅です
駅に隣接して道の駅わっかないがあるのでそこに車を停め、駅前のセイコマでごはん..と思ったのですが
ご覧の通りです
水も売り切れでした
水がないとカップ麺も食べられないので、お酒の割り剤コーナーにあった炭酸水と、氷を購入しました
ミネラルウォーターには目が行っても、意外とこういうものは見落としてしまうものなんでしょうか、残っていました
氷を買おうとすると、店員さんに「ほとんど溶けてしまってるけど大丈夫ですか?」と言われました
「売り切れてる飲料水の代わりに使うので大丈夫です」と答えると、賢いと褒めていただきました
そして、もうひとつ問題が
車の鍵を閉じ込んでしまったのです
いやはや本当に何やってるんでしょうね..
ともかく、車内のキーシリンダーに間違いなく鍵が刺さっていて、ドアは運転席側も助手席側も間違いなく閉まってるので、保険のロードサービスに連絡します
よく壊れる車に、よくこういうミスをするオーナーが乗っているので、ロードサービスへの連絡は慣れています
インキーをしたことと、その場所を伝えると、地震は大丈夫なんですか!?と心配されました
うーんと、鍵があってトランクが開けば、そこに食べ物とかもあるのでなんとなるけど今現在は全然大丈夫じゃないですね..
酷道を走らされて泥だらけになり、日本最北端の地でインキーされる愛車がかわいそう..
とにかく、保険とJAFのツテで近くの鍵屋さんを当たってくれるとのことなので、街を歩いて連絡を待ちます
稚内にはロシア語が目立ちます
道路の青看板にもロシア語が書いてあるくらいです
大学から安否確認のメールが一斉送信で来ていたので回答してみました
結局特に返事はありませんでした
何のための安否確認なんですかねえ..
そして来た連絡は、停電のために街の鍵屋さんは軒並み営業していない、そして、していても固定電話が停電で使えないので連絡がつかないとのことなのです..!
携帯電話で東京の保険屋さんに電話していたから気づかなかったけど、なるほど言われてみればその通りです
頭を抱えていると、地元の人が声をかけてくれたりします
最近の車はリモートキーとかだけど、こういう車は内側から鍵かけてそのままドア閉めちゃうから危ないね..
仰る通りです
車が開かなかったらどうしよう、と困り果てていたところに、保険屋から連絡が来ました
曰く、「キーシリンダーから鍵を開ける会社ではないんですが、窓枠をこじって棒を車内に入れて内側から鍵を解除するサービスの会社なら連絡が取れました」とのこと
どうやらお休みのつもりだったところを駆け付けてくれるらしいです
窓枠などが傷んでしまう可能性があるとのことですが、この際そんなことを気にしていられません
僕の車は窓枠がないサッシュレスな上、2ドアなのでドア縁から内側の鍵までが遠く、開けられない可能性もあると言われたのですが、とにかく来てくれるとのことなので藁にもすがる思いで待ちます
業者の人は言っていたよりもずっと早く来てくれ、作業をはじめてくれました
予想通り、サッシュレスと2ドアのためになかなか大変です
まず空気をポンプで吹き込むと膨らむシートを窓とボディの間に滑り込ませ、膨らませ、棒を入れる隙間を作ります
僕も手伝って、何度も失敗しながらもなんとか棒を入れることができました
ところが鍵までが遠すぎて棒が届かないので、棒を延長して、なんとか鍵を開けることができました
車の鍵が開く音にあんなにも安堵したのは初めてでした
保険屋さんと業者さんとKには本当にご迷惑をおかけしました
そして稚内の皆さん(本当にそこにいたほぼ全員が気にかけてくれました笑)、どうしよう!!とかいって連絡した友人知人、ご心配おかけしました
もうこの日はいい時間になってしまったし、断水でお風呂にも入れないし、ということで、稚内森林キャンプ場へ向かいます
キャンプ道具と食糧が取り出せればなんとかなります
キャンプ場には、震災の影響なのか結構人がいました
周りにならってテントを設営し、お湯を沸かしてカップ麺を食べます
テント設営も二度目となればスムーズです
せっかく北海道にいるのに特産物とか全然食べられてないですね..電気が来たら食べたいものです
停電と断水は明日までとも、1週間以上続くとも言われ、不安を抱えたまま、ひときわ綺麗な星空を眺め、のんびりと酌を交わします
この日の移動
走行距離 約230km(累計約780km)
走行時間 約4時間
どうか早く電気が来てくれますように..
どうか早く水が来てくれますように..
続く